雨のあとに

お城ではあたしの帰還を祝うパーティーが開かれてたくさんの人の祝福を受けた。カーダなんか何を言っているのか分からないぐらい泣いて喜んでくれた。

エレットも心配したぞと怒ってはいたけど喜んでくれているみたい。けど、ほとんどの人がシーバーのことを良く思ってはいなくて、ディーンとエレットは特に歓迎していない。

しばらくパーティーを楽しんだけど、シーバーの姿がないことに気づいた。もしかしてみんなが歓迎しないことを気にして出て行ったのかな?あたしは部屋に忘れ物したとウソをついて探しに出た。

中庭に出ると噴水の前に腰をかけて、いつも首からさげていたロケットを見つめているシーバーがいた。

『何してるの?』

『陛下・・・、妻の写真を見ていました。』

『見せてもらってもいい?』

『どうぞ。』

シーバーから受け取ったロケットには茶色いショートヘアーの女性が素敵な笑顔をあたしに向けてくれている。

『うわー、可愛い人だね。シーバーってこんな可愛い人と結婚したの?幸せ者ね♪』

『ありがとうございます、初めて出会った時の写真ですからだいぶ若いですけど。』

少しからかいながらロケットを返すと、シーバーは笑いながら受け取った。シーバーは奥さんの写真を見ながら聞いてきた。

『陛下、私は妻と一緒になったことを後悔したことはありません。しかし、妻はどうだったのでしょうか?妻の人生は私の生きた時間に比べれば短すぎる。それなのに魔族の私なんかと一緒になり、困難な道を歩きました。私は生き続けていいのでしょうか?マサルドリアに戻っていいのでしょうか?』

ロケットを握りしめてつらそうに聞いてくるシーバーに腹が立った。あたしはシーバーの頬に思いっきり手の平をぶつけてやった。

『いい加減にしなさいよ!さっきから聞いてたら奥さんは不幸だったみたいな言い方して、まるで奥さんが間違ってたみたいじゃない。どうだったかですって?じゃあ聞くけど、奥さんはシーバーと結婚してから一度も笑ってなかったの?』

『・・・いつも笑顔でした。』