雨のあとに

町の人に手を振りながらお城に向かっていると、あの人の声が聞こえた。

『アメっ!!』

前には息を荒くしたディーンの姿があった。町の騒ぎを聞きつけて走って来てくれたみたい。あたしは馬から飛び降りてディーンに向かって駆け出した。

『ディーンっ!!』

あたしはディーンに抱きついて、ディーンも苦しくなるぐらい強く抱きしめてくれた。やっとこの人の腕の中に帰ってきた。気持ちが溢れ出すみたいに涙が出てきた。

『良かった、無事だったのか。馬鹿者め、私がどれほど心配したか分かっているのか。』

『ごめんなさい。』

『もう会えないと思ったぞ。』

『あたしは会えるって信じてた、ディーンの側に帰ってみせるって思っていたから。』

『そうか、とにかく無事で何よりだ。ん?あいつは・・・』

ディーンはシーバーに気づいたらしく、あたしから離れてシーバーの方に歩きだした。シーバーは馬から降りて、ディーンに頭を下げた。

『閣下、お久しぶりでござ・・・』

ディーンは喋っている途中のシーバーを殴り飛ばした。

『シルバー・コンバート!よくこの地に足を踏み入れたものだな、貴様が犯した罪が消えたと思ったのか?』

シーバーは口元から血を流し、ゆっくりと立ち上がって口を開いた。

『私の罪が消えることがあるとは思っておりません。再び閣下に顔をお見せし、申し訳ありません。』

ディーンはもう一度殴ろうとしたから、あたしはディーンの腕を掴んで叫んだ。

『やめて!あたしがシーバーを無理やり連れて来たの。シーバーは何も悪くない、殴るならあたしを殴って。』