雨のあとに

『だったら別に悪いことしてないじゃん。』

『え?しかし、私は戦わずに逃げ出したのですよ。』

『戦うことよりその人と一緒に居たかったんだよね?あたし的にはそっちの方が好きだな。』

『今度の王は変わっていますね。前の国王なら決しておっしゃらない言葉ばかりです。』

『あー、あたしもレオンから聞いた。最低だよね前のあたしって。』

あたしが笑うとシーバーもつられるように笑った。

それから船がランド国に到着してあたしはシーバーと一緒に船を降りた。シーバーが逃げ出したことに気づかれる前に港を離れてマサルドリアの国境を目指した。港から結構歩いた所に小さな村があった。

『今夜はあの村に泊まろうよ。』

『いえ、人間の村に滞在するのは危険です。それより馬を買って先を急ぎましょう。』

マジですか?人間ってそんなに危険な人ばかりじゃないと思うけど、実際シーバーは捕まっていたから反論もできず馬を一頭アレクに貰ったお金で買って村を出た。マサルドリアに近づいている時あることに気づいた。

『そういえばシーバーの奥さんってどうしてるの?捕まってたから心配していると思うよ。』

『妻は10年前に死にました。』

『そうなんだ、ごめんなさい。』

『気にしないでください。魔族と人間では寿命が違っているのは分かりきったことですから。』

『じゃあ子供は?シーバーには子供いないの?』

『魔族と人間の間に子供はできませんので。』

『そうなの!?じゃあシーバーは10年間ずっと一人だったんだ、可哀想。』

『自分が選んだ道なので仕方ありません。』

シーバーは笑っていたけど、哀しい瞳をしていた。それにしても魔族と人間じゃあ子供はできないんだ。あたしとディーンにも子供ってできないのかな?あたしイマイチ自分が人間なのか魔族なのか分からないんだよね。てゆうか結婚もしてないのにナニ考えてんだ!あたしは自分と葛藤している間にいつの間にか眠っていた。