雨のあとに

プールに足を入れて涼んでいたら部屋に化粧の濃いオバサンが入ってきた。豪華な宝石を身に着けているし、偉そうな態度からして王妃だと思う。

『アレクセイ、あら?あなた誰?』

『あたしは、アレクの友達ですけど。』

『フン、どんなお友達なのかしらね。全く、素性の知れない者を宮殿に入れるなんて。早く消えてくれればキスカが次の王になれるのに。』

何この人、いきなり現れてアレクの悪口言うなんて。血が繋がってなくても親子なのに嫌な感じ。

『ねぇ、あなたアレクセイの秘密知らない?情報によってはいい値で買うわよ。』

『さっきから何なんですか。黙って聞いてたらアレクの悪口ばっかり。』

『何よ、あなたアタクシに逆らうつもり?全く、クズの周りにはクズしか集まらないのかしら。』

『そのクズに何か用ですか?』

アレクが食べ物を持って部屋の前に立っていた。

『感心しませんね、主のいない部屋に無断で上がり込むとは。』

王妃は少し焦りながら答えた。

『あら、ごめんなさい。ちょっとアレクセイに話したいことがあったけどもういいわ。それでは失礼。』

アレクは早足で出て行く王妃を睨みながらあたしに食べ物を渡して隣に座った。

『全く、用があるなら俺がいる時にこいよな。あの女俺がいない間に部屋に忍び込んで粗探ししてるんだ。お前も何か聞かれただろ?』

『うん、アレクの秘密を教えろって。』

『やっぱりな。それよりお前、王妃に言い返すなんて結構度胸があるな。』

『だって頭にくるんだもん。人の悪口ばっか言ってさ。』

『俺なんかアイツの言う通りの人間だ。次の王もキスカがなった方がいいに決まってる。キスカってのは半分血の繋がった俺の弟だ。あいつは真面目でしっかりしてたいしたヤツだよ。』