雨のあとに

あたしはアレクに連れられてベッドとプールのある広い部屋に入った。

『あなたってカカロンの王子なの?』

プールに近づいて水面を眺めながらアレクに問いかけた。

『ああ、カカロン第一王子アレクセイ様だ。俺の身分がわかって惚れたか?』

『バッカじゃない。でも助けてくれてありがとう。助けついでにマサルドリアに帰る方法を教えてくれない?』

『この宮殿から1日ほど北に行った港からマサルドリアと同じ大陸のランド国と行き来する船が出る。その船でランドに行けばあとは自分でどうにかできるだろう。』

『本当?じゃあ今から・・・』

『ただし!船が出るのは10日後だ。』

『そんな〜、10日間もここに居なくちゃいけないの?』

『まあ、ゆっくりしていけよ。だが魔族だとバレないようにな、バレたらヤバいことになる。なんてったってここの王妃は大の魔族嫌いだからな。』

『王妃ってあなたのお母さん?』

『血は繋がってないがな。生みの母親は俺がガキの頃に死んだ。』

『あたしと同じ、あたしのお母さんも小さい頃に死んじゃって顔も知らないんだ。』

『そうか、それよりお前腹減ってないか?』

『そういえばペコペコ。』

『なら何か持ってきてやる、少し待ってろ。』

アレクは立ち上がって部屋を出て行った。アレクって初めは嫌なヤツかと思ったけど、魔族のあたしを助けてくれるし色々親切にしてくれるから良い人みたい。