雨のあとに

アレクはやれやれと頭をかきながら兵士の質問に答えた。てゆうか電化?・・・ああ殿下ね。ってええ!?

『その時は賊の死体が転がるだけだ。俺は宮殿に戻る。』

アレクは行くぞとあたしの腕を引っ張り起こして歩きだした。するとあたしに気づいた兵士が呼び止めた。

『殿下、そちらの方は?』

マズい、魔族だなんて知られたら殺されるかも。焦っているあたしをよそにアレクはあたしを抱き寄せた。

『野暮なことを聞くな、今夜の房事の相手だ。』

『これは失礼を。しかし少々抑えていただかないとまた陛下にお叱りを受けますよ。』

『分かった分かった、コイツのことは親父には黙っておいてくれ。』

兵士は頭を下げてアレクの後に続いた。さっきアレクが言っていたことが気になって聞いてみた。

『ねぇ、ボウジって何?』

あたしの質問を聞いてアレクは悪戯に笑った。

『ベッドでする気持ち良い事だよ。』

『気持ち良いこと?・・・!?ってあんたやっぱり痴漢じゃない!近寄らないで。』

真っ赤になってアレクを引き離そうとすると、逆に強く顔を引き寄せられた。

『このままお前を兵に引き渡してもいいんだぜ?』

脅されているはずなのにアレクの言葉からは悪意は感じられなかった。だからあたしもアレクに普通に言い返すことができた。

『う〜、・・・分かった。けど何かしたらぶん殴るからね。』

あたしは仕方なくアレクについて行くことになった。カカロンは砂漠というより広い砂浜みたいな乾燥地帯でとにかく暑い場所だった。アレクは人目につかない方が良いと言って裏門から宮殿内にあたしを招き入れた。アレクの住む王宮はアラビア宮殿みたいな建物で豪華な感じがする。宮殿のアチコチに水が流れていて涼しい。