雨のあとに

フルジマ王やロンたちとお別れをすまし、あたし達はフルジマを発つことにした。

『それではあたし達はマサルドリアに帰ります。ハルクの人たちと仲良くしてくださいね。』

『ええ、是非みなさんもまたフルジマにきてください。』

『アメ、絶対にまた来てね?』

『うん。ロンもマサルドリアに遊びに来てよ?』

淋しそうにするロンとまた会うことを約束してフルジマの港から船に乗ってマサルドリアに向かった。大変だったけど、全部上手くいって良かった。甲板で海を眺めていると、ディーンが近づいて隣に立った。

『今回のことで魔族と人間の関係が良くなりマサルドリアも豊かになるだろう。良くやったな。』

ディーンが難しい顔をしながら話す姿は少し可笑しかった。

『ねぇ、それって誉めてる?』

『誉めているではないか。』

『そんな眉間にシワ寄せながら言われてもあんまり誉められた気がしないなー。もっと笑って言ってよ。』

ためらいながらディーンは少し笑った。

『頑張ったな。』

うわっ、笑った顔初めて見たかも。また胸が高鳴って紅潮してきた。顔が赤くなったことに気づかれないように俯いた。ディーンの隣に居ると緊張するけど、嫌いな気分じゃない。静かに波の音を聞きながらディーンと寄り添う時間はあたしが今まで感じたことのない心地好い時間だった。