雨のあとに

ロゼルスさんの屋敷に到着すると直ぐにディーンに腕を引っ張られて屋敷の中に入った。

『痛い、ちょっとちゃんと歩くから引っ張らないで。』

ディーンは黙ったままあたしを引っ張って部屋の中に入れられた。怖い、ディーンは怒っているのがわかる声で話をしてきた。

『貴様は何を考えているのだ?貴様には王としての自覚がなさすぎる、もしかすると命を落としたかもしれんのだぞ!』

『でも、ほっとく訳にはいかないよ。ロンはあたしの目の前で助けてって言ってたのにムシしろって言うの?』

『だが貴様が動くことはない、私に任せておけばよかったのだ。』

『ディーンは危険な目にあってもいいけど、あたしはダメって何?あたしとディーンのどこが違うの?』

『貴様は王で私は単なる臣下だ、違いは明白だろう。』

『そんなの関係ない!あたしもディーンも命の価値は一緒だよ。』

『そういうことではない、貴様に何かあれば多くの者が悲しむ。貴様に、アメに何かあれば私は・・・・。』

ディーンは哀しい瞳をしてあたしの頬に手を当てた。ディーンの手はすごく暖かくて気持ちが良かった、あたしはその手に自分の手を重ねながら謝った。

『ごめんなさい、心配をかけるつもりはなかったの。でも、何もしないで見てることができなくて。』

『それは良いことだと私は思う。ただ私に言ってくれればどうにかする、だから行動する前にまず相談しろ。他の者でもいいレオンやエレット、他の者も必ず力になるだろう。』

『うん、でも・・・』

『でも何だ?』

『ディーンが傷つくのもイヤ、ディーンに何かあったらあたしだって耐えられない。』

『アメ・・・』

目を閉じて唇がとディーンの唇と重なり合った、初めてのキスは優しい。この時初めて自分の気持ちに気づいた、あたしディーンのことが好き。