雨のあとに

環境をよくしたら今度は食事だね。ここには一通りの道具と食料は置いてあって、自分たちで食事を作るようになっているみたい。みんな病気で動けないんだから食事なんて用意できないのにと思ったけど、やっぱり感染するのが怖くて近づけないんだ。あたしはロンと一緒に大きな鍋を用意してスープを作ることにした。

『あたし料理は結構自信があるんだよね。』

『本当だ、とっても美味しいよ。』

『ありがとう、じゃあみんなにも配ってあげて。』

それからあたしはみんなの看病を続けた。それにしても何であたしは病気にならないんだろ?体の調子はいいし、苦しくもなんともない。ロンもあたしが魔力を注いでから元気だし、もしかしたらこの病気って治癒術で治せるのかも!あたしは毎日みんなに気づかれないよう魔力を注いでみた。すると、ここにいる人達はみるみる元気になって動けるようになった。

だけど、みんな元気になっているのに穴から出してはもらえる様子はなかった。それでもあたしにお礼を言ってくれるおばさんがいた。

『ありがとうね、あんたが来てから生きる希望が出てきたよ。』

『そんな、あたしは自分ができることをしただけです。』

『あんたっていい子だね、あたしゃあんたが病気を治してくれたような気がするよ。』

おばさんと洗濯をしながらお喋りをしていたら、何かが崩れ落ちる音がした。急いで駆けつけてみると、穴の斜面が崩れて、岩が落ちてきたらしい。よく見ると男の人が巻き込まれて大ケガをしている。こままじゃあ、あの人が死んじゃう。あたしはすぐに治癒術を使って治してしまった。