雨のあとに

ガタガタと震える男の子が独り言のように口を開いた。

『もうダメだ、ここに入れられたら死ぬしかないんだ。』

『ねぇ、ここは何なの?』

『ここは奇病にかかった人が入る所だよ。他の人に伝染しないように隔離されるんだ。』

『そっか、キミ名前は?』

『ロン。』

『ロンねあたしはアメ、よろしくね。』

『お姉ちゃんだったんだ、てっきりお兄ちゃんかと思った。』

『失礼ね、こんな格好だけど女です。ほら、こんな所いないで小屋の中に入ろっか?』

ロンを立たせて一番近い小屋の中に入ると、中はヒドい有り様だった。部屋の中のほとんどの人が寝込んでいて、部屋は異臭がするほど汚れていた。他の小屋を覗いても、同じように汚れていて病人がいるような場所ではなかった。ロンのいる小屋に戻ると、ロンが倒れていた。

『ロンっ!?どうしたの?しっかりして。』

荒く息をするロンのオデコを触るとかなり熱かった。あたしは外に飛び出して、穴の近くにいる見張りに叫んだ。

『スイマセン、熱を出している子供がいるんです!医者か薬をお願いします。』

あたしは何度も大声で叫んでも見張りは振り向いてさえくれなかった。

『無駄じゃよ、ワシらは見捨てられた者なんじゃから。』

部屋の隅にいるお爺さんが声をかけてきた。

『ここじゃあ、みんな死を待つだけじゃ。あんたらも若いのに可哀想に。』

『治す方法はないんですか?』

『噂ではミシリアスに特効薬があるらしいんだが、奴らはそれを譲ろうとはせん。何人かミシリアスに薬を取りに行ったが、1人も戻っては来なんだ。』

だからフルジマはミシリアスに降伏しようとしてるんだ。