雨のあとに

女王になると決めてからの日々は本当に大変だった。カーダには毎日魔族の歴史や習慣など色んな勉強をさせられるし、レオンにはせっかく鍵が剣になるから剣の使い方ぐらい覚えた方が良いと言われ稽古をさせられる。

あれから少しは仲良くなれたと思ったディーンも政務も女王の仕事だと厳しくされたし、エレットは魔力ぐらいコントロールしろって魔法を教えてくれて治療術から攻撃術まで教え込まれた。

ある日魔法の練習中にエレットに難しい顔をして言われた。

『アメは本当におかしな奴だな。一番難しい治療術はできるのに、なんで他のは上手くできないんだ?』

息切れしながら言い返した。

『しょうがないじゃん、今まで魔法なんて使えるなんて知らなかったんだから。急に上手くなるわけないでしょ!』

『だが、治療術は教えてもいないのにできたじゃないか。』

『あれは鍵が力を貸してくれたの、あたしが困った時に使い方を教えてくれるんだ。』

『鍵が?空耳じゃないのか、父上はそんな事は言っていなかったぞ。』

『空耳じゃないよ、何度も聞いてるし。エレットのお父さんが言わなかっただけでしょ。』

エレットはそうかな〜?と考え出してあたしはもうヘトヘトだったから今日の練習はこれで終わりと逃げ出した。今日の勉強と仕事は全部終わったから部屋に戻って休もうと部屋に向かった。

あーあ、前まで普通の女子高生だったのに。てゆうか高校1ヶ月ぐらいしか行ってなかったんだよね、もっとしたいこととかあったのにな。沙耶、元気かな?お父さんに逢いたいな。