雨のあとに

『すいませんねー、忙しいのにおしかけてー。』

トゲトゲしく言ったら、普通に返された。

『まったくだ、あの時の問題も片付いていないのに。』

あの時の問題って、何かな?気になって聞いてみた。

『問題って何ですか?』

『村を襲ったのは、小さな村の人間だ。大方、食糧難で村を襲ったのだろう。小さな村だからな、相手国は村を潰して終わらせようとするだろう。宣戦布告の理由にするには難しいのだ。』

『戦争する気なんですか?』

『そうだ。』

『そんなのダメです、やられたらやり返すなんて子供のケンカじゃないですか。』

『じゃあ黙っていろと言うのか?仕掛けたのは人間だぞ。』

『たしかに相手のやったことは許せないけど、こっちも同じことをするんですか?そんなの間違ってる。悔しいかもしれないけど、自分達だけでも正しいことをしたいじゃない。』

『なら、女王陛下のお考えをお聞かせ願おう。』

ディーンさんはどうせ何も無いだろうと言いたそうに、意地悪く聞いてきた。たしかに何も考えてなかった、けど昔お父さんが言っていたことを思い出した。

『あたしのお父さんが言っていたコトなんだけど「歴史や文化が違う人と仲良くするのは難しいよ、見方も価値観も違うからね。けれど相手を理解して、同じ目線で見ることで世界が大きく変わることがあるんだ。そうすると大切なものが見えてくる事もあるんだよ。」って。それって魔族と人間も同じだよね、とにかく相手のことを知らないと。』

『知ると言っても、どうやって知るのだ。』

『言葉があるでしょ、話し合いをするの。あたしの世界ではどんなことでもまず話し合いで解決するんだから。』

『もし、解決できなかったらどうする?』

『その時は・・・その時考えたらいいの。』

『フッ、困った国王だな。分かった、努力しよう。』

『本当!?じゃあ、約束のしるしに指切り。』

そう言って小指を出したあたしをディーンさんは不思議そうに見つめる。