お父さんって顔も良いし、お金持ちなのに何で恋人がいないのかな?何もしなくても向こうから寄って来て選び放題だと思うんだけどな。あたしは思い切って聞いてみた。

『ねぇ、好きな人っていないの?』

お父さんは呼んでいる新聞を置いて笑って答えた。

『もちろんいるよ。』

『嘘!?誰誰?会社の人?』

『雨ちゃん。』

聞いたあたしが馬鹿だった。何で何でもかんでもあたし中心に考えるかなー、少しは自分のことも考えてよ。

『もういい、ごちそうさま。学校行って来る。』

『待って、パパも一緒に行くから途中まで一緒に行こう。』

今日も同じ、途中までって言って結局学校の近くまで来るんだから。これでもマシな方で前は教室まで来たこともあったの、それはあたしが「もう一度来たら二度と口を利かないからね!」って言ったらすぐに止めてくれた。

学校の行く準備をしてからお父さんと一緒に家を出た。あたし達は学校まではいつも歩いて行く、お父さんは運転手の原田(ハラダ)さんがいるのにあたしと二人で歩きたいと言うくだらない理由で学校の近くに原田さんを待たせているの。

『じゃあね、愛してるよ雨!』

『はいはい、行ってらっしゃい。』

学校に着いてやっとお父さんから解放され、あたしは教室で自分の机に倒れ込んだ。