お父さんの話しを聞く覚悟はできている。だけどあたしの体はそれを拒絶するかのように胸の鼓動は痛いぐらい強くなり、呼吸の仕方を忘れてしまったみたいに息がしずらくなった。

お父さんはあたしの様子に気づいたみたいで、あたしの顔を見てつらそうに俯いてから話し出した。

『雨はもう気づいていると思うけど、私は魔族だ。そして雨が行っていた世界はヴァーンと呼ばれている。ヴァーンにいた頃、私はマサルドリアを離れ人間領土のクォークという国で王の鍵について調べていた。誰かに頼まれた訳でもなく、ただ知りたかったんだ。何故鍵なのか?どんな力を持っているのか?何故存在するのか?私は一人で何年も何十年も鍵について調べて続けた。その結果はるか昔に一人の魔族がある兵器を作り出し、その兵器は“魔王”と呼ばれ世界を破滅させる力を持っていると分かった。その力は決してこの世に存在するべきでないと初代マサルドリア国王が強い魔力を持った三人の賢者と共に封印をした。つまり鍵は魔王を封印するために作られたんだ。これで王の鍵のことが分かった、だが私は今度は魔王について知りたくなった。別に世界をどうこうしようというのではなく、ただ純粋に知りたかっただけなんだ。するとある女性が私の元を訪れた、マリアだ。彼女は私に魔王を封印した扉について教え、その扉を開けてみないかと誘ってきた。私は素性の知れない彼女の申し出を受け入れ、扉を開く研究をした。そして扉を開くには王の力が必要だった。だがその時の王、つまり雨の前の王に魔王の存在を教えるのは危険だと私たちは考えた。そこでマリアは自分たちの命令に従う王を作ればいいと言ったんだ。私は反対した。しかし私にはマリアを止めることはできなかった。マリアはどこからか助手たちを連れてきてどんどん計画を進めた。そしてマリアは先代の王を殺し、魂を奪いそして・・・雨たちを作った。』

『ちょっと待って、作ったってどういう事?あたしはお父さんの子供じゃないの?』

『雨はマリアが作ったホムンクルス、つまり人の手で作られた人だ。』

『な・・・に・・・それ?あたし魔族なの?それとも人間?どっちなのよ!!』

『魔族・・・でも人間でもない。』

自分が信じてずっと立っていた場所が急に壊れてなくなった。あたしの世界は音をたてて崩れ落ちる。