次の日の朝。

駐車場で彼と貴子を待つ佳奈。

「どっちが先かな」

なんて思いながらふと絵里の事を考えていた。

結局…

あれから絵里は何も言ってこない。
もちろん、文化祭の準備やらで忙しいから構ってはいられないのだろうけど…
教室であっても普通。

もしくは…

無視。

相変わらず彼には愛想を振りまいてはいるが…

「あれが彼女のやり方なんじゃないの?」

「いやらしい」

貴子と恭子の会話である。
どうやら絵里の一件で気が合うことに気づいたらしい…
最近はほとんど3人で行動している。

「佳奈っおはよ~」

目の前に貴子が立っている。

「あっ、おはよ」

「何考えてんの?あ、田村の事だっ」

「ち、違うよっ」

「ど~だかっ」

二人で叫んでいると…

「ていうかさ、田村はまだ?」

「えっ?あ…もう30分過ぎてる」

「電話しなよ」

「でも、もうすぐしたら来るかも知んないし」

「かけなって。
ったく…携帯番号を聞けばいいものの」

「聞けないわよっ」

そう言いつつ携帯を取り出し、彼の番号を呼び出す。