「な…なにっ」

「ウザイって言ってんのっ」

彼女の手が振りかざされた。
思わず目を閉じる佳奈。

「っ…」

…案の定、左頬がジンジンと痛む。
頬に手をやり彼女を見る。

「私が先生のこと好きって分かっててこんなことするわけ?」

首を振る佳奈。

「さぞかしうれしいでしょうね。
競技会に行けて…それも先生と一緒に。
どうしてあんたみたいのが行けて私が行けないのよっ」

かなりの怒りのなのだろう…
わなわなと震えている。

「先生だって言ってたよ。
俺だって連れて行きたいって。
でも、負担かけちゃうからっ…」

「うるさいっ
そんなのなんであんたから言われなきゃいけないのよっ」

佳奈のいう事なんてまったくと言って良いほど聞く耳を持たないようだ。
すると、

「この天然バカッ」

そう言い、走り去っていった。