思わずそれを聞いていた佳奈、涙が立て続けに流れてくる。

「起きてたのか?佳奈」

驚いた田村。

「あ…たま…いた…い…」

そう言う佳奈の手を握り締める田村。

「1週間ほど入院らしい」

「が…っこ…は?」

「お前がこんな状況で学校なんか行けるかっ」

「だ…めだ…よ…」

笑おうとするが…ただ顔が引きつって見え、それがまた悲痛に見えてしまう。

「無理に話すなって」

田村も無理に笑おうとするが…笑顔になっていない。

「俺はここにいるから…寝ろ」

そう言うと、目をゆっくりと閉じた。

佳奈が眠った頃、両親が病室に戻ってきた。

「佳奈の熱が下がったら、もう一度脳の検査をするみたいです。
退院の目処がつくのはそれからだそうですね」

と隆二から聞かされる田村。

「なんともなければいいんですが…」

そう言うと、

「佳奈は大丈夫。
石頭だから…
それはそうと田村先生、少し休んで。
ずっと付き添ってくれたんだから…」

と清美。