「受かると願って…」

巾着袋をギュッと握り締め、推薦されてうれしさと、彼から声をかけられたうれしさで顔がゆるみ放題だ。

万年筆を取り出し、記入していく。
途中、彼が書類を持って入ってきたが…
今は、こっちに集中だ。

「資格…システム…3級…電卓…」

ブツブツと独り言を言いながら書き入れる。
前に座り、じっとそれを見ている彼。

「趣味…しゅみ?趣味…なんだっけ?」

「ぶわっははっ」

「び、びっくりしたっ」

急に笑い出した彼を見る佳奈。

「独り言が多すぎ」

お腹を押さえながら笑う彼。

「ふん、言いながら書かないと間違えるんですっ」

膨れる佳奈。

「悪い悪い、もう終わるだろ?
こっちはこっちでやっとくから」

「邪魔しないでくださいっ」

「ほいほい」

彼は佳奈を見たが…
もう履歴書とにらめっこを始めていた。
クスッと笑い、作業を始める彼。

が…それから10分後、

「終わった~」

大声で叫ぶ佳奈に、

「う、うるさいっ」

と叫ぶ彼だった。