先生のビー玉

その日の放課後…

「素振り行ってくる」

貴子が走って道場へ向かった。

「じゃ、私はちょっと先に行ってるから、素振りが終わったら電話ちょうだいね」

恭子はそういうと、教室を出て行った。
いつもこうだ。
それぞれが自由気まま。
だが、それだからこそ成り立つ3人。

「私は、これでも見とくか」

自動車学校のパンフレットを広げる。
2月から取りに行こうと思っているので、こないだ父親がもらってきてくれたのだ。

「車…かぁ」

なんて見ながら呟いていると、携帯が鳴った。
着信音でわかる。

彼だ。

「ん?わっ、メールだ」

『今、準備室にいる。
もし、時間があればおいで』

と。
バタバタとパンフレットを鞄に押し込み、パソコン準備室に走る佳奈。
息を切らして準備室の扉をあけると…

「走ってこなくても逃げやしないって」

笑って彼が言う。

「だって…」

佳奈が言うと、

「ま、座れ」

そう言われ、彼の隣りに座る。