先生のビー玉

「え?」

「何も用がないのに来ることなんてなかったろ?最近は。
昨日も調子悪かったんだろ?
何か悩みごとか?」

「えっと…」

プレゼントを渡しに来ました!

なんて言えない。
でも…渡したい…
どうしよう…

頭の中をその言葉がグルグルと回っている。

「いや、なにもなければいいんだよ。
俺も助かったし…
じゃ、帰るか」

パソコンをシャットダウンさせ立ち上がる彼。

違う…
えっと…
バッグの中から紙袋を取り出す。
彼は…書類などをファイルに入れる作業をしている。

「あのっ、たくさんのプレゼントの中のひとつかもしれないけど…
使ってもらえなくても全然気にしません」

バッグの中からプレゼントを取り出して彼の目の前に置いた。
驚いている彼…

「もし…迷惑なら…
捨ててくださいっ」

そう言い、鞄を持ち準備室を出た。
それからどう走ったかわからない。

足元を見れば…

ちゃんとスリッパを履いている。

急いでいたはずなのにちゃんとしているところもあるんだと笑いが出てくる。
と同時に…


ため息…


「渡しちゃった…」


呟き、中庭のベンチに座った。