その夜、

「佳奈、先生の助手席に乗りなよ。
私は後ろで寝てるし」

と帰り道、貴子が言う。

「私が助手席?」

「あったり前でしょうがっ。
私は助手席は乗らない!
奴の運転は信用できそうもないし、佳奈が座ればそれで万事OKってなわけさ」

「どんなわけよ」

「いいじゃん。
奴の助手席なんて、今後乗れるかどうかわかんないよっ
乗っとけ乗っとけ」

相変わらず無責任なことを言う彼女だ。

かばんの中から小さな巾着を取り出し、ビー玉を手に取る。

「お泊り…ね…」

そして、手が触れた瞬間を思い出す。

「…鼻血でそう…」

ベッドにダイブする佳奈だった。