放課後、保健室に後片付けの手伝いに行き、貴子とロッカーのほうへ歩いていた時、

「あ、ちょっと部室寄ってくるから待ってて」

貴子が部室へ行ってしまった。
階段のところで座って待っていた。
すると…

「ここにいたか」

目の前に彼が息を切らして立っていたのだ。
パッと見上げ、驚く佳奈。

「口、開いたままだぞ」

そう言われ、思わず赤面する佳奈。
すると、

「これ、サンキュな」

巾着が差し出された。

「あ、あぁ、い、いえっ」

受け取る巾着。
そして…

「おかげでずっこけずに走れたよ。
もう、年を取ると足がもつれるんだよな」

と笑う彼。

「それ、危ないです」

佳奈が笑うと、彼も笑っている。
こうやって長く話すのも久しぶりだなぁなんて思っていると、

「最近、早く帰ってるのか?」

「え?」

「放課後、部活にも来ないから」

彼がそう言ったのだ。