先生のビー玉

テントに戻ると、

「王子様はかっこいいかったねぇ」

と孝枝。

「からかってます?」

佳奈が言うと、

「だって、戸田にしてみれば…ねぇ」

と意味深的な言葉。

「…せんせい?」

佳奈がはっとして彼女を見る。

「分かってんの。
何年、女してきてると思ってんの?
戸田の気持ちなんか初めて保健室に来た時から知ってるの!」

その言葉を聞き、うなだれる佳奈。

「私…そんなに分かりやすいですか?」

そう言うと、大きく頷く孝枝だった。
すると、

「ずるいよね、ずるすぎるっ」

2位だったことに憤慨している貴子。

「まぁ、仕方ないって。
相手は男だ」

孝枝が笑う。

「佳奈は、ちゃんと応援した?私でなく…奴を」

「わっ、嫌味」

佳奈が言うと、大声で笑う貴子。

そんなこんなで体育大会は終了した。