先生のビー玉

午後の競技が始まる。
最終学年とあり、午後からのほうが出場プログラムが多い。

「あんたらは自分のクラスに行ってなさい。
私ひとりでもどうにでもなるわ」

孝枝の言葉に自分のクラスに戻る貴子と佳奈。
実は…まだテント内にいたいのは当然の事だ。

「まだいたかったなぁ」

ボソッと呟く佳奈。

「だろうねぇ。
でもさ、さっきは良い仕事しましたねぇ、戸田さん」

と貴子。

「驚いちゃったけどね。
まさか呼ばれるとは思わなかった」

そう言う佳奈に、

「そうだよね。
そんなんだよね…」

なんて何度も呟く貴子だった。
不思議そうに見ている佳奈だったが、

「あんたらっ、さっさと着替えないと間に合わないよっ」

合服に着替えた恭子が叫ぶ。

「あ、荒城の月だったっ」

あわてて体育館に戻る二人。
ここのM学園の伝統で、最終学年の生徒はこの荒城の月と言う舞いを踊るのである。
バタバタと着替え終わった貴子に、

「先に行ってて。
間に合わなかったら集合場所にそのまま行くし」

佳奈が言うと、

「了解」

そう言い、貴子は体育館を出て行った。
それから着替え終わった佳奈、体育館を出た。