先生のビー玉

「は、はいっ」

返事をする佳奈。
すると、

「ちょっとこっち来い。
これ、入力頼む。で、合計出してくれるか?」

と振り返ってパソコンを指さす。

「あ、は、はいっ」

要領はつかめないが、とりあえず彼のところに行く。
すると、

「これ…」

「そう言うことだ」

どうやら、彼が指示したとおりに操作しなかったため、エクセルの公式がおかしくなってしまったらしい。

「わかりました」

そう言い、ちゃっちゃと操作していく佳奈。
商業科でエクセルをこなせる生徒ならだれでもできることだ。


そう…貴子や恭子でも。


休憩時間が終わるころには集計表がプリントアウトされた。

「助かったよ。じゃ、これ矢部先生に」

と彼が係の生徒に言うと、あたふたと走って行った。

「やっぱりお前に頼めばよかったわ。
ありがとう」

頭をポンッと小突くと佳奈を見て笑う彼。
ただどうしていいかわからず笑う佳奈。


はたから見ていた二人…


「いいじゃないっいいじゃないっ」


いつまでもニヤけていた。