先生のビー玉

午前中の競技が終わり、昼食となった。
貴子と恭子と教室でお弁当をつつく。

「そう言えばさ、絵里の奴…見てて呆れるったらありゃしない」

と恭子がブツブツと言っている。
どうやら…
あのシーンを見ていたようだ。

「自分が良ければそれでいいのよ。
あいつは」

と貴子がお弁当の中に入っているウインナーを突き刺す。
ただ苦笑いの佳奈。

「ねぇ、あんたはそれでいいの?
部活にも行かない、職員室にも行かない、最近は図書館でこもりっきり。
私は納得いかない」

と恭子が言う。

「こもりっきりってぇ~?
勉強に付き合ってもらってんの。
私だって、行くように言うんだけどさ、行かないんだわ…これが」

と貴子。

「…だってさ、由梨がかわいそうじゃない?
私が行くことで絵里も来る。
来たら来たで口出しばっかり…
だったら、私が行かなけりゃ良いってことだもん」

とため息交じりに佳奈が言う。

そんな彼女の言葉に何も言えない二人。

「でもさ、職員室に行くくらい良いんじゃない?」

と恭子。

「それがさ、入り浸ってんのよ。
あいつ」

と貴子。

「めんどくさ…」

あきれ顔の恭子。

「まぁさ、いいのよ。
だって、引退したんだしね」

無理やり切り替えるように明るく言う佳奈だった。