「じゃ、終わりましたよ」

と矢部に声をかける貴子。
その頃には、矢部たちも打ち合わせが終わったようだ。
ゾロゾロと出ていく教師たち。
邪魔にならないように外で待つ佳奈。
すると…

「救護係か」

うつむいていた佳奈に話しかける彼。
パッと顔を上げると、彼が目の前に立っている。

「あ、はい。
というか、強制的なんですよ、戸高先生の…
先生は、集計係だったんですね」

佳奈が言うと、

「あぁ、でも役に立つような生徒はいなさそうだな。
きっと当日はてんてこ舞いだ」

苦笑いの彼。
久しぶりに話すのだが…
どうもうまく話せない。
貴子が早く来てくれないかとそわそわしていると、

「最近、部活来ないな」

呟くように彼が言ったのだ。

「え…？」

佳奈が思わず聞き返すと、

「ん？あ、あぁ、近藤がな、いっつも叫んでるんだよ。
お前がいないとさびしいって」

とお茶らけて言う彼。

「そうですかぁ？」

佳奈も笑って言うと、

「ま、暇なときは来い」

そう言い、パソコン室のほうへ向かって行った。
そんな一言がとてもうれしく思う佳奈だった。