先生のビー玉

夏休みに入る終業式の日に彼女の面接があった。
その日の掃除時間、たまたま通った花壇に彼女はいた。

面接の事を切りだすと…
案の定、緊張の表情だ。

あのビー玉の事を切りだすと、パッと表情を明るくする彼女。
なんてかわいい奴だ。

職員室に戻り、机の上にそれを置く。
そしてふとひらめいた。

『緊張をほぐす方法…
なんてあるわけがない』

小さなメモ帳に書く。
そして…

『いつものお前ならうまくいく。
頑張れ』

と書いた。
これをみた彼女の表情が目に浮かぶようで思わず笑った。

そして彼女がやってきた。
それを渡すと、担任と一緒に職員室を出て行った。


頑張れ


彼女に手を振りながらそう願った。


それから1時間後、パソコン室に彼女がやってきた。
案の定、内定。
が、彼女の表情は…すぐれない。

聞いてあきれた。

理事長を用務員の先生だと間違えていたらしい。
まぁ、あの理事長の行動は…
よく分からない。

思わず笑ってしまったが、それでも内定をもらったのだから大したもんだ。