先生のビー玉

「戸田っ」

あるベンチに座る人影を見つけた彼が叫ぶ。
パッと顔を上げる佳奈。

「佳奈っ」

貴子も叫ぶ。
思わず立ち上がる佳奈。
二人、佳奈に駆け寄る。

「すみません。本当にすみません」

必死に謝っている佳奈。
いつも学校で見せている表情とはまるで違う。

「先生はここで待ってて」

そう言うと、少し離れたベンチに連れていく。
やはり足が痛いのか…
足を少しひきずっている。

「佳奈、大丈夫?」

「大丈夫…ホントにごめん」

ベンチに座らせると、

「そんなこと…全然気にしなくっていいの。
で、何があったの?
先生に聞いたら…絵里がいたって聞いたの。
もしかして…絵里?」

黙る佳奈。

「言わないと…絶交だから」

貴子が言うと、ポツリポツリと話し始めた。
その話を聞いていると…彼女の顔色がどんどん変わっていく。

「むかつく!むかつくっ!」

大声で叫ぶ貴子。
離れて聞いていた彼…居てもたってもいられないのか、二人のところにやってきた。

「戸田…大丈夫か?歩けるか?
もしよければ…話してくれるか?」

が…首をふる佳奈。