言われるまま
パパの隣に座り
電話のことを聞こうと
口を開きかけたら……



「やった
今日はイチの方から
来てくれた」



私の肩を抱き
「んーっ」って
オデコにチューしてくるし



「なにすんのよっ!」


グイッと
両手でパパを押し返す



「な、なにすんのよって……
ひっでぇな、イチ
お前こそ、何しに来たんだ?」



「何しにって
決まってんでしょう?
電話よ、電話っ!
お義兄さん何だって?」



とたんにパパは
ムスッとした表情になり



「なんだ、愛を確かめ合いに
来たんじゃないのか」



そう言って
ベッドから立ち上がり
机に戻っていった



「今夜しようって言ったのに」


なんとなくパパの態度が
何かを誤魔化そうとしてる
ように見えた



……私に聞かせたくない
何かが三島の家であったんだ


「も~、パパふざけないで
何かあったんでしょう?」



少し間をおいて
低い声でパパは言った


「………別に何も」