でも、なんだろ
イヤーな予感……



ポケットから ゆっくり
ケータイを取り出し
パカッと開く



イチはそんなオレを
じっと見てる



青波………
今、泣いてくれないかな?
パパを助けると思って
泣いてくれー



メール受信 エリナ



「…………………」


そのメールの内容に
言葉を失う


削除しなきゃ
これは削除しなきゃ
イチに見られるわけには
いかないよ


ヒクッと
口元 引きつらせたオレに
イチは気付き



「見せて」



「………へ?」


イチ様、今なんて?


イチはにっこり笑って
手を差し出し


「メールでしょ?
見せて」


「………やぁー……
でも、その………
大したことないよ?」


「だったら見せて」


「いやぁー………」


「いいから見せなっ!」



ピシャリと
イチに言われ
そぉ~っとケータイを渡す



エリナちゃーん
なんで よりによって……




>三島センセ

>今夜は来てくれて嬉しかった
>今度は二人きりで
課外授業してくださいね

>1番綺麗な今のカラダ
>記念に残したいな
>三島センセの絵で
>な~んてね






「………なに?これ」



イチの肩がふるふる震えてる



「ご、誤解だよ、イチ……」


「これが営業?」


「いや、エリナちゃんの
ブラックユーモアだよ……
は、ははははは…………」




カタン………
イチは立ち上がり
キッチンの方へ歩いて行った