風を止める事が出来ない
無力な私たち
だけど、風除けにはなろう
絶対になろう
「まんまぁ」
波に挑んでいた青波が
こちらを振り返る
太陽の光を反射する
海がまぶしい
「ちぇーはも」
ポテポテ
お尻を揺らしながら
青波は先生の元へ向かう
私は目を細めて
その姿を見る
「ん?青波もやるか?」
先生から白いボールを渡され
フンフンと荒い鼻息で
青波は両手で持った……
先生が笑いながら
「青波投手
両手を振りかぶり
第一球………投げたっ
………っていうか
落下した?」
ボールを持った両手を
高々と上げ
青波は思い切り
下に投げつけた
ポトンと
青波の足元に落ちたボールを
郁弥くんが駆け寄り
拾ってグローブに収める
「青波くん
ナイスピッチング」
キャッ、キャッ
かん高い声を上げ
青波はひざを曲げ伸ばしして
喜んでる
先生は穏やかに笑い
郁弥くんの頭を撫でた
涙で濡れた
顔を上げて郁弥くんは
「ありがとう、お兄ちゃん」
『お兄ちゃん』が
強烈に効いたらしい
先生の目が真っ赤に潤んだ



