ラブリーホーム*先生の青③





「い、泉さんが………
初めて会った時に
僕の手を握って
『よろしく』って笑ったんだ


僕、その時に気がついたんだ


何ヵ月、僕は人の肌に
触れてなかったんだろうって


強く握りしめられた
手の感触にビックリして
僕、思ったんだ


『もう絶対に
失敗したくない』って」



郁弥くんの後ろ姿が
ゆらゆら揺れて見えた


あの笑顔の裏の
悲しい決心に
涙がこぼれた



『絶対に失敗したくない』



そうか
そうだったんだ



お母さんに恋人が出来て
寂しかったんじゃない



小さな失敗から
郁弥くんを取り巻く歯車が
全てずれていったんだ



友達に背を向けられ
お母さんには誤解され



「ぼ、僕、また、
失敗しちゃっ……
ごめんなさい、市花さん」



小さな背中を
思い切り抱きしめた


「いいんだよ
そんなに頑張らないで
いいんだよ…………」



郁弥くんの身体を包んだ
私の腕に雫が落ちてくる


肩を上下させ
郁弥くんは嗚咽を漏らした



「好きだよ
私は郁弥くんが好きだよ

どんな郁弥くんも好き

パパも青波も
郁弥くんが大好きなんだよ」



郁弥くんは振り返らなかった
私はずっと背中を抱きしめた


のどを詰まらす
苦しい呼吸を聞いた


夕陽を反射して
川面が金色に輝いてた