「うう~ん」
「何を唸ってるの?
市花ちゃん」
気がつくと目の前に
多田くんの顔
「……うっわぁ、
ビックリした」
私が声を上げるのと同時に
買い物カートに乗ってた青波が
「ちゃっじゃきゅー」
と 両手を上げた
多田くんは青波の頭を
撫でながら
「なんか、眉間にシワ寄せて
市花ちゃん唸ってたけど
なんか悩み事?」
「……あ、いや、えと」
午前中の家事を終え
スーパーに来て
カートを押しながら
食料品売り場を回ること2周目
だって郁弥くんが
なに食べるか
わかんないんだもん
頭の中で唸ってたのが
口に出てたらしい
青波と仲良し
スーパーのお兄さん多田くんに
訊いてみるか
「多田くんって何が好き?」
「え?なになに?
オレに何か
ご馳走してくれんの?」
「あ、いや、その………
一般的に男子って
何が好きなのかなぁって」
缶詰めが並ぶ棚の前
「じゃっこぉ~」と
抱っこをせがむ青波に応え
カートから青波を抱き上げて
多田くんは「う~ん」と
天井を見上げ
「肉、じゃない?」
「肉?」
「唐揚げ、とか」
「なるほど!」
唐揚げね、唐揚げ
フムフムとうなずく私に
多田くんはクスクス笑いながら
「それくらい、
旦那さんに聞けば?」
「あ、そうだよねぇ」
旦那さんねぇ
うちの旦那さん………



