ラブリーホーム*先生の青③





親父が頑張んないで
どーすんだよ
って奮い立たせ



イチもオレを気遣ってだろう
出産が怖いと言わなかった



聞いたことのない声を上げ
苦しみ頑張った
イチのお腹から
男の子が出て来て



絶対にこいつが
ボールを投げれるくらい
大きくなるまでに



キャッチボール出来るくらい
足を回復させてみせる
杖なんてすぐ
要らなくなってみせる



そう思って
買ったんだよなぁ……







「やっぱりさ
父と息子って
キャッチボールじゃん?」



オレがそう言うと
イチはグローブに
顔を埋めて笑い



「知らなかったぁー
生まれた日って
気ぃ早すぎだよ、先生」



「イチも青波も
頑張ってくれたから
触発されたっていうの?

めちゃくちゃ
言葉にならないくらい
感動したし」



イチはグローブから顔を上げ



「うん。感動したよ」



「だよな。
やっぱり母親はすごい…」


「感動したよ
リハビリ頑張ってくれた先生に
私も」



イチに真っ直ぐ見つめられ
何も言葉が出なくなった
呼吸も止まった




オレに向けられた
丸い瞳の奥に光が見える



………大丈夫
まだ そんなに離れてない



ちゃんと向き合えば
手を伸ばせば届く距離に
オレとイチの心はある