ラブリーホーム*先生の青③





何となく
二つのグローブとボールを
身体で隠し



「イチ起きたんだ
頭痛はどうだ?」



「うん。薬飲んで寝たら
スッキリしたよ
ありがとう」


イチにありがとうと言われると
くすぐったくて嬉しい



「部屋、片付けてたんだ」



物が少なくなった部屋を
イチは見渡し、首を傾げ



「今、何か隠したよね?
見られたら気まずい物?」



「いや、気まずくはねーよ」



気まずいじゃなく
恥ずかしい物だな



「ん」って差し出し見せると
イチはこちらに寄ってきて



「……これ
大人用のグローブと
子供用のグローブだ?」



「そ」



青波が生まれた日
病院からの帰り道
オモチャ屋で買った物



「あの時、オレ
まだ杖使ってたじゃん?」


まだ、完璧に動かせない
左の足首
事故の後遺症



事故に遭った記憶は
オレにはない
ショックで
消えてしまったらしい



気が付けば
自由に動かない
身体だけがあって



動かない物を
動かそうとする
リハビリは想像を
絶する苦しみで



どうせ動かない
もう一生治らない



気を抜くと、すぐ落ちた



頑張れたのは
だんだん膨らむ
イチのお腹


その中で
ここにいるよと言うように
うごめく青波がいたから