「………はぁ」
ため息ついて
立ち上がる
やめた、やめた
どうかしてるよ、オレ
イチは一生懸命
やってくれてる
今回、イチを怒らせたのも
オレがカナと飲んだせいだし
郁弥を預かることを
勝手に決めたせいだし
愚痴れる立場じゃねーって
二人が寝てる間に
オレの部屋
片付けてしまおう
机の上のノートパソコンや
教材をアトリエに移し
マンガとか雑誌は
郁弥だって読むだろーし
そのままでいいよな
あとはクローゼット
少し片付けて
スペース開けるか……
着替えやらを出し
クローゼットの中が
スッキリすると奥に
新品のグローブと
野球ボールが見えた
「おおー!」
思わず声を上げ
二つ重なったグローブと
野球ボールを取る
「………ははっ
そうだ、ここにしまったんだ」
「何を?」
「………へっ?」
急にイチの声がして
バッと振り返ると
開けっぱにしてた
部屋の戸口にイチは立ち
「1人で笑って……
何かあった?」
「あ、いや、あの」
いきなりだったから
少し口ごもってしまう
このグローブとボールは
イチに言ったことがない物だ



