「それは、ダメだよ」
眉を寄せた先生の顔が
目の前にあった
「イチはオレの奥さんなんだから、他の男になんか絶対会わせない。許さないよ、当たり前だろ?」
しばらく間を置き
「わかった」って
ため息ついて先生は
「もうカナとは二人で会わない
イチがすごく嫌な思いしたって
わかったからさ」
その言葉を聞いた時
後悔にも似た悲しさで
胸がいっぱいになった
先生のその言葉が
答えになってしまう
全然晴れないモヤモヤを
これ以上、先生と追及することが出来ない
こんな風に先生に言わせた
カナさんと会わせない
って言葉が
私の求めてた答えではない
でも、だったら何だろう
どうすれば私は満足するのか
「………イチ、ごめんな。
オレ、本当にダメなんだ。
イチにそっぽ向かれんのだけ
本当にダメなんだよ、昔っから
堪えられない」
………その情けない甘えた声
前にも聞いた
付き合う前だ
あの時もカナさんのことで
私は先生を切ろうとした
………これなら
前にケンカの種になった
あのキャバ嬢と浮気された方が楽だったと、そう思う
同じ、女絡みのケンカなのに
キャバ嬢とカナさんとじゃ
質が全く違う



