リビングの扉の前で、大きく深呼吸をする。
震える手で、ドアの取っ手を握る。
ドアの取っ手をゆっくり下ろした。
ドアを開けると、リビングのソファーには継母と弟の優太が座っている。
妹の未来(ミライ)は、リビングにあるオモチャで遊んでる。
パパはいない。
たぶん仕事から帰ってないんだろう……。
継母、優太、未来が一斉に私の方を見た。
継母のナイフのように冷たく、突き刺さるような目。
優太はこちらを見ると、すぐに目線を逸らした。
優太は、小さい頃から継母から私の傍に寄ったらいけないと教えられていた。
だから優太は物心ついた時から私に懐かなくなった。
「おねえちゃん!」
未来が笑顔で私の方に歩いて来る。
未来は私がこの家で、どういう立場なのかは知らない。
だから満面の笑みで私の方に歩み寄って来る。



