「でもな……」
「でも?」
何?
「一旦、家に帰った方がいいと思うんだ」
「えっ?」
私は目を見開き、咲哉さんを見た。
私は思考回路が止まったかのように動けなくなった。
帰った方がいい?
あんな家に?
どうして?
さっき"わかった"って言ってくれたのは何だったの?
「あのね……穂乃ちゃん……。俺が一緒に行くから……。俺は外で待ってるから、もし嫌なら俺のとこに逃げてくればいい」
咲哉さんは私の頭を優しく撫でながら言った。
ホントに?
咲哉さんのとこに逃げればいいの?
「…………うん」
私は小さく頷いた。



