私は寝室に入って、出掛ける用意をした。
お気に入りの黒のワンピース。
それから白のAラインのコート。
着ていた服を脱いで、黒のワンピースに着替える。
それからボストンバッグの中から鏡とメイク道具が入ったポーチを出した。
普段、メイクは全くしない。
でもメイク道具だけはいつも持ち歩いてる。
「穂乃ちゃん?用意、出来た?開けるよ?」
寝室のドアの向こうで、咲哉さんの声がした。
「ダメ!あと少しだから、向こうで待ってて?」
ヤバい……。
早く用意しないと……。
「わかった……」
そう再び、咲哉さんの声が聞こえた。
私は急いで……でも丁寧にメイクをする。
メイクの次は髪。
軽く巻髪を作る。
鏡で最終チェックをして、コートを着て、寝室を出た。



