「咲哉さん……」
買い物から帰って来て、キッキンで料理をしてる私を咲哉さんは後ろからギュッと抱きしめた。
首筋にキスをする。
「キャッ!」
突然のことで体が"ビクッ"小さく跳ねた。
「咲哉さん……。包丁使ってるから……危ないよ……」
そう言っても咲哉さんはやめてくれない。
それどころか、咲哉さんは、包丁を持つ私の右手に自分の右手を、ニンジンを持つ私の左手に自分の左手を重ねた。
「咲哉さん……」
「こうすると危なくないよ……」
「もぉ~!余計に危ないよ~」
私は笑いながらそう言い、咲哉さんの手を重ねたままニンジンを切った。



