「その養親の方は?」
「亡くなったよ……。2人ともね。養父は俺が就職してすぐに。養母は一昨年に……」
「そんな……」
私はそう呟いて、両手を口に持っていった。
涙を必死に堪えていた。
「養親には感謝してるよ。諦めてた高校や大学まで行かせてくれて、本当の子供のように可愛がってくれたからね」
「咲哉さん……」
咲哉さんは本当の両親のことはどう思ってんだろう……。
「ん?」
「本当の両親のこと……恨んでる?」
「昔は恨んでたよ。捨てられたんだから……。捨てるなら生むなよって思ってた」
「今は?」
「今はどうだろう?全く恨んでないって言ったら嘘になるけど……。実父母がいたから俺はこの世に生まれてこれたわけだしね」
「そっか……」
咲哉さんの本当の両親に対する気持ちを聞いて、少し安心した。



