「施設って、中学を卒業したら出ないといけないんだ……」
「そうなの?」
知らなかった……。
「あぁ。
俺の場合は親の身元も不明。
親戚もいない。
だから施設を出たら、高校には行かずに働こうと思ってたんだ。
施設の園長先生に高校には行けって言われけど……。
でも親がいないし、学費も払えない。
施設を出たら1人で生きていかなきゃいけない。
だから俺は高校に行くことを拒んだんだ。
そんな時、俺と養子縁組したいって言ってくれた老夫婦がいてね。
老夫婦には元々、子供がいなかったみたいで、
園長先生の知り合いで、俺のことを相談したら
養子縁組してもいいと言ってくれたみたいなんだ。
で、俺は諦めてた高校も受験できて、中学を卒業と同時に、
その老夫婦と養子縁組して"宮本咲哉"から"阿川咲哉"になったんだ。
養親には大学まで行かせてもらったよ……」



