「でね……」
咲哉さんが話を続ける。
「本籍地は乳児院や児童養護施設などの住所になることが多くて、
生年月日は推定される年に拾われた日を誕生日として
設定することが多いらし……。
名前も申し立てした人や保護者から取ることもあるんだって。
でも、俺の場合、手紙には名前や生年月日が書かれてたから
多分、出生届も出されてて戸籍も作成されてたんだろうな」
私の頭の中には【?】マークが飛び交っていた。
初めて聞く話に頭が混乱してる。
「難しい話だったから……ゴメンなさい……」
「それが普通の人の反応だと思うよ。俺もそんなこと知らなくて、ネットで調べたから……」
「そうなんだ……。それで……お母さんは?」
「迎えに来なかったよ」
「えっ?」
また、私は目を見開いて咲哉さんを見た。



