「俺……捨て子だったんだ……」
「えっ……」
私は再び目を見開いて咲哉さんを見た。
捨て子……。
「雪の舞う寒い日に、俺は施設の前に捨てられてたんだって……」
咲哉さんは私の方をチラッと見た。
「小さな籐のカゴに入ってて、
薄い産着の上に毛布をくるんだだけの状態で、
毛布の中には1通の手紙が入ってたらしい……。
その手紙には
【この子の名前は宮本咲哉です。誕生日は2月14日。
ある事情で、子供を育てることが出来なくなってしまいました。
でも必ず迎えに行きます。
私が迎えに行く日まで、咲哉のことを宜しくお願いします】
って書いてあったらしいんだ……」