「あの……咲哉さん?」



私は顔を上げて、咲哉さんの方を向いた。



「ん?」


「駅まで送ってもらっていいですか?」


「家まで送って行くよ?」


「駅まででいいです……。これ以上、咲哉さんに迷惑かけたくないから……」



もう、これ以上、咲哉さんに迷惑かけたくない……。


咲哉さんに本当のことを知られるのが怖い……。



「穂乃ちゃん?」


「あ、はい……」


「あのさぁ……今日は、俺のお願い聞いてくれる?」


「お願い?」


「昨日は穂乃ちゃんのお願いを聞いたから、今日は俺の番ね」


「あ、うん……」



お願いって何だろう……。



「…………俺と一緒に……いて?」


「えっ?」



咲哉……さん……。


私は目を見開いて咲哉さんを見た。



「ダメ?」


「ううん……」



本当に今日も私と一緒にいてくれるの?


そう思うと、嬉しいような恥ずかしいような……。



「よしっ!じゃー決まりね」



咲哉さんは私の方をチラッと見ると、ニコッと微笑んだ。