車が駅前に止まった。



「今日はありがとう」



私はそう言って、頭を下げた。



「いいえ。あっ!傘、持って行って?」


「大丈夫…」


「せっかく乾いたのに、また濡れるといけないから。なっ?」


「じゃー…お借りします…」



咲哉さんは後部座席に置いてあった傘を取ると、傘を渡してくれた。



「また来週…」


「うん…また来週…。じゃーね…」



私は、助手席のドアを開けて、傘を差して車から降りた。


運転席の咲哉さんに手を振った。


咲哉さんも笑顔で手を振ってくれた。


車がゆっくり走り出す。


咲哉さんの車が見えなくなるまで、車を見つめていた。