「穂乃ちゃんって、高3だろ?」


「……はい…」


「受験勉強でわからないとこがあったら、いつでも勉強見てあげるよ?」


「………私、受験しないんで…」



高校を卒業したら、あの家を出て自立しようと決めていた。


あの人達の世話にはなりたくない。


だから大学には行かない。



「そうなんだ……」



阿川さんは呟くように言った。


その時、洗濯乾燥終了のブザーが聞こえた。