「ゴメン!」
阿川さんはそう言って、突然ソファーから立ち上がった。
私はビックリして、阿川さんの方を見た。
「買うものがあったのを忘れてて……コンビニ行ってくる。悪いけど、ちょっと待ってて?」
「あ……はい……」
阿川さんはスウェットの上にダウンジャケットを羽織ると、財布とキーケースだけ持ってリビングを出て行った。
阿川さんが出て行って、静かになった部屋の中。
私は急に寂しくなった。
コンビニに行くって嘘かもしれない。
本当は他に何か理由があるのかも……。
彼女に会いに行ったとか……。
そう思うと、胸の中が急にモヤモヤして余計に寂しさが込み上げてきた。



